ram's café menu No.633 : 器楽曲
演奏 : アンヌ・ケフェレック(p) ( 国内盤 ERATO WPCS-22117 ) ドメニコ・スカルラッティは、バッハやヘンデルと同じ年の1685年にナポリに生まれています。父親はナポリ派のオペラの巨匠、アレッサンドロ・スカルラッティで、あの美しいカンタータ「おお誇り高きベツレヘムよ」や崇高な趣の「スターバト・マーテル」を作曲しています。そんなオペラの巨匠に教えを受けたD.スカルラッティは、早くからオペラ作曲家として活躍したそうですが、50歳を越えてから、「チェンバロのためのソナタ」をじつに555曲も作曲しました。そして、J.S.バッハやフランソワ・クープランと並び称される、チェンバロの三大巨匠の一人にまでなったそうです。 ところで、D.スカルラッティのソナタ作品にはロンゴ番号(L)と、カークパトリック番号(K)の2種が存在しますが、それは20世紀初めにロンゴによってソナタ全555曲が編纂されたのち、1950年代になって、チェンバロ奏者のラルフ・カークパトリックが年代順に編纂し直したことによるそうです。カークパトリックは私のブログにもここや、ここに出てきましたが、スカルラッティ研究家としても特に有名だったのです。 さて今日のお薦めは《イベリア半島の光彩を感じさせる、繊細で暖かみのあるケフェレックのスカルラッティ》と評判であった一枚です。ERATOレーベルにはあのスコット・ロスの555曲全曲録音もありますが、このケフェレックの一枚も素敵なんです。とりわけ、これからの季節、ここに収録された曲の中で「ロ短調L.33(K.87)」などは、小雨模様の午後にはピッタリの感じがします。憂鬱でやるせない気持ちがとてもよくわかります。ケフェレックのピアノの音色がまた透明感たっぷりで、喩えれば純粋透明な雨粒のようです。 今日の写真 : 真珠の小石 ( 写真をクリックすると、少し大きな画像でご覧いただけます )
by fragile28
| 2010-05-25 21:38
| 器楽曲
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