ram's café menu No.753 : 器楽曲
演奏 : イヴォンヌ・ルフェビュール(p) ( 輸入盤 Solstice FYCD 018 ) 16歳になったばかりのディヌ・リパッティは、1933年春、ウィーンの国際ピアノコンクールに参加して2位になりました。しかし審査員の一人アルフレッド・コルトーはこの審査結果を認めることができず、リパッティがダントツで1位であると主張しました。でも、「リパッティはまだ若いから、これからチャンスはいくらでもある。この際は年上の候補者に・・」というとんでもない理由で、彼の意見は退けられました。するとコルトーは憤然として辞表を叩きつけて、審査員を辞めてしまったそうです。コンクールの後、コルトーはリパッティをパリのエコール・ノルマルに招いています。そのエコール・ノルマルで若きリパッティを担当した先生が、今日のお薦めの一枚の演奏者、イヴォンヌ・ルフェビュールなのです。 畠山陸雄著『ディヌ・リパッティ/ 伝説のピアニスト夭逝の生涯と音楽』によると、イヴォンヌ・ルフェビュール(1898~1986年)は艶のある音色、軽やかなタッチ、クリアーなアーティキュレーション、抑制のきいたペダル、フレーズの中庸な感覚など、コルトーからのフランス派の伝統を、最も正しく模範的に継承したピアニストとして評価されています。彼女も小さい頃から才能を現し、14歳のときパリのコンセルヴァトアールでコルトーの教えを受けたそうです。そして得意とするのはラヴェルでした。彼女の録音は1970年代という晩年期の演奏がほとんどですが、それでも、華やかな音色による明晰で粒立ちのよい演奏はまったく年齢など感じさせないものです。特にこの「クープランの墓」で聴かせる絶妙なリズム感と音の強弱は天性のものなのか、とても魅力的で聴き惚れてしまいました。なお、この録音は、ラヴェル生誕100周年にあたる1975年の録音で、フランスディスク大賞に輝いています。 同曲異演盤 : アンヌ・ケフェレック(p) アンジェラ・ヒューイット(p) 今日の写真 : 淡雪に霞む ( 写真をクリックすると、少し大きな画像でご覧いただけます )
by fragile28
| 2012-02-25 14:31
| 器楽曲
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