ram's café menu No.20 : 室内楽曲
演奏 : パウル・バドゥラ=スコダ(p) ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団員 ( 輸入盤 LP Westminster WL 5025 ) ピアノ五重奏曲といっても、通常とはちょっと変わった編成です。弦楽四重奏の第2ヴァイオリンの替わりにコントラバスが加わって、低音がしっかりと支えられています。「ます」という副題が示すように、第4楽章にシューベルトの有名なリート「ます」のフレーズがでてきます。ヴァイオリンからピアノへとメロディを引き継ぎ、とても上品な響きです。 リートの詩は、清らかな小川でぴちぴちと泳いでいる鱒を、釣り人が策を巡らし釣り上げてしまうのですが、そのあと小川は何事もなかったかのように元の流れに戻るという内容です。だから、聴きやすく美しいのだけれど、どこかもの悲しい感じがするのかもしれません。 今日のCDは、『ウエストミンスターの「ます」』と評されるくらいに、理想的な演奏として知られているものです。パウル・バドゥラ=スコダはこのレーベルで2種類の「ます」を録音しています。モノーラル録音のウィーン・コンツェルトハウス四重奏団盤とステレオ録音のバリリ四重奏団盤です。どちらも素晴らしいのですが、このウィーン・コンツェルトハウス四重奏団盤のほうが、速いテンポで情熱的に歌っています。そして、ピアノは生き生きとして歯切れよく、新鮮な面持ちです。弦楽器のアンサンブルも颯爽として気持ちいいですね。バリリ四重奏団盤は、しっとりとした落ち着きがあって、それはそれで素晴らしく美しい演奏です。 なお、このCD1枚に、上の2種類の演奏がカップリングされています。でもジャケットはウィーン・コンツェルトハウス四重奏団盤のLPのものです。 追記 : 2010年9月、この演奏のWestminsterのオリジナル盤(WL 5025)を入手することができましたので、ジャケット 写真をそれに入れ替えます。およそ60年も前の録音とは思えない瑞々しい音に感激です。 今日の写真 : 神代植物公園のバラ(3) 緑光(千鳥) スヴニール・ド・アンネ・フランク
by fragile28
| 2006-10-15 21:01
| 室内楽曲
|
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