ram's café menu No.52 : 室内楽曲
演奏 : アンネ=ゾフィー・ムター(vn) ランバート・オーキス(p) ( 輸入盤 DG 457 619-2 ) ベートーヴェンは10曲のヴァイオリン・ソナタを書きました。その中で特に有名なのは第5番「春」と第9番「クロイツェル」です。最近話題のTV番組でも第5番「春」がつかわれていました。でも「春」は新春のお楽しみにとっておいて、今日のエントリーは第8番です。 ベートーヴェンは作品30の3つのヴァイオリン・ソナタを、自身の難聴や耳鳴りと闘いながら1802年の初夏までに完成させています。そればかりか、作品31の3曲のピアノ・ソナタ(この中にはニ短調の「テンペスト」も含まれています)や「6つの変奏曲」作品34,「エロイカ変奏曲」作品35なども続けて作曲しています。高い精神性を保ちつつ驚異的な創造力に支配されて、次々と重要な作品を生み出していきます。 本当に天才ですね。喩えはおかしいかも知れませんが、津波のように傑作の波が次々と訪れるのです。ちなみに交響曲では第4番、「運命」、「田園」そしてピアノ協奏曲第4番、ヴァイオリン協奏曲やピアノ・ソナタ「熱情」などの傑作の作品群は1806~8年頃の作曲です。まさに衝撃波です。 さてこの第8番ですが、第1楽章アレグロ・アッサイからピアノとヴァイオリンがあたかもグルグル、グルグルと目眩のような旋律を奏でます。でもすぐに鋭く張りつめたヴァイオリンの高音がスパッと目眩を断ち切っていきます。こんな風に緊張感も限界までいってしまうと、とても不安な気持ちになります。第2楽章では、渋い音色のヴァイオリンが主題を奏でます。陰影に富むのですが、とっても優しく美しいです。絶望の淵で、先へ進もうか止まろうか、心の迷い・不安が現れます。テンポ・ディ・メヌエットが本当にしっくりきます。でもこの楽章の終結部では、何か希望の光が見えたような安らぎに包まれてきます。そして、最終楽章では一転して、気を取り直しての躍動感あふれた楽章です。ムターの力強く凛とした音色が活きています。 今日の演奏も、NHKの衛星放送やCSのクラシカ・ジャパンで、その映像が放送されています。1998年パリ、シャンゼリゼでのライブ録画のDVDですが、ムターの力強い音色と自信に満ちた演奏、そしてムターの美しいドレス姿に感心してしまいました。でも、これはCDなので写真はちょっとだけです(笑)。 今日の写真 : 圓光寺 (1999年11月26日) 詩仙堂のすぐ近くにあるのですが、あまり観光客の方には知られていないとのこと。観光タクシーの運転手に案内していただきました。部屋に上がって、しばらく静かに庭を眺めてみました。本当に落ち着きます。緋色の毛氈と競い合っているような鮮やかな紅葉です。 紅葉の名所として、多くの人が殺到するほどは知られてほしくないけど、この美しさだけは多くの人に教えてあげたいのです。
by fragile28
| 2006-12-03 17:49
| 室内楽曲
|
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