人気ブログランキング | 話題のタグを見る

シューベルト/4つの即興曲D.935(Op.142)

シューベルト/4つの即興曲D.935(Op.142)_a0085805_207510.jpgram's café menu No.550 : 器楽曲

演奏 : ヴィルヘルム・ケンプ(p)
(  輸入盤 LP DGG 139 149  )








 シューベルトは、その生涯に100曲以上ものピアノ曲を作曲していますが、その最後を飾るのが2組の《即興曲集》です。この2組は、4曲ずつ作品90と作品142としてまとめられていて、いずれもシューベルトらしい旋律の美しさを楽しめる佳曲揃いです。
特に作品142の「第2曲Allegretto変イ長調」はとても短い曲なのですが、メヌエット風の優雅な気分に満ちています。素朴で美しい主旋律は、微妙に表情を変えながら幾度も繰り返されていきます。最後は余韻を詩情豊かに残しながら終結していきます。本当に美しい曲です。

 私は、この作品142第2曲だけなら『ヴィルヘルム・バックハウス最後の演奏会』のディスクで聴いています。1969年6月26日の演奏会のアンコール曲でもあり、そして6月28日の演奏会では途中心臓発作を起こしながらも、休憩後にバックハウスが弾いた最後の曲でもあります。バックハウスの<白鳥の歌>なのですが、まさに枯淡の境地、祈りを捧げ無心にピアノと戯れるようです。そして一週間後の7月5日、バックハウスは85歳の生涯を閉じることになります。


 今日は2組の《即興曲集》が収録されているケンプの録音でエントリーします。ケンプの演奏は技巧的ではなく、シューベルトらしくよく歌いながら、抒情的で穏やかな雰囲気を大切にした演奏です。これはもう、安心して聴ける名演奏の一枚です。



今日の写真 : 落葉の絨毯

シューベルト/4つの即興曲D.935(Op.142)_a0085805_2163923.jpg

                    ( 写真をクリックすると、少し大きな画像でご覧いただけます )
by fragile28 | 2009-11-05 21:09 | 器楽曲


<< バッハ/無伴奏チェロ組曲全曲B... シューベルト/八重奏曲ヘ長調D... >>