ram's café menu No.588 : 器楽曲
演奏 : マリア・ジョアン・ピリス(p) ( 輸入盤 DGG 453 457-2 ) 昔から「月光」という愛称で親しまれているこの「ピアノ・ソナタ第14番」ですが、この題名はベートーヴェン自身がつけたものではないようです。故志鳥栄八郎氏の著書『ピアノ音楽の楽しみ』には、<詩人レルシュタープがこの曲の瞑想的な第1楽章を聴いて、「スイスのルツェルン湖の月光にたゆとう小舟のごとく・・」と表現したことからつけられたものだ。>とありました。まさしく第1楽章冒頭の神秘的な三連音符の序奏に続く優美な旋律は、限りなく幻想的でロマンティックです。『雲間から射す月明かり 微かに見える湖面の小舟 微かなさざ波ににゆれる月の光・・ 』と、そんな情景(妄想?)が目に浮かぶようです(笑)。 さて今日は、マリア・ジョアン・ピリスのグラモフォン盤CDでエントリーです。この曲の幻想的でロマンティックな表情を大切にした演奏で、淡々とした曲の運びの中に豊かな詩情が広がっていきます。ベートーヴェンの荘厳さ、スケールの大きさを意識させることなく、少し軽めのペダルでやや押さえた感じで進んでいきます。その沈着冷静な表現がピリスらしいといえます。 ところでこのCDは紙ジャケット仕様ですが、それがまたお洒落な作りになっています。一枚の紙を折りたたんであって、内側の面にアイヒェンドルフ、サルヴァド、プルーストらの詩と月明かりでシルエットになった風景写真が載っています。そして表面のジャケット写真は《満月》です。CDのデザインやパッケージなどに知恵を絞って、なかなかお洒落な一枚ですね。でも、ひとつだけ私的には不満があります。それは月面の写真がいわゆる「裏焼き」され、左右逆転していることです。あくまでもデザインですから、どうでもいいのですが・・(笑)。 同曲異演盤 : ウィルヘルム・バックハウス(p) 今日の写真 : Blue Moon 2010年1月30日20時38分撮影 ( 写真をクリックすると、少し大きな画像でご覧いただけます ) 「ひと月に2度満月が見られる場合の、2回目の満月」のことを「ブルー・ムーン」と言うそうです。 拙ブログにリンクをいただいている《見知らぬ世界に思いを馳せ》のhalcaさんの記事で知りました。 ありがとうございました。
by fragile28
| 2010-01-31 09:58
| 器楽曲
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