ram's café menu No.844 : 協奏曲
演奏 : アレッサンドロ・カルボナーレ(cl) アバド/モーツァルト管弦楽団 ( 輸入盤 DGG 477 9331 ) 先週初めの1月20日(月)、指揮者クラウディオ・アバド氏が逝去されました。氏は昨年6月26日に80歳の誕生日を迎え、10月にはルツェルン祝祭管弦楽団と来日し「ルツェルン・フェスティバル アーク・ノヴァ 松島2013」などへの参加のため7年ぶりに来日されるはずでしたが、健康上の理由からキャンセルになり、その後療養されていたそうです。 1990年からカラヤンの後任として、ベルリン・フィル芸術監督に就任していましたが、2000年に胃癌の手術を受けた後、2002年にはその職を辞しています。しかし、03年にはルツェルン祝祭管弦楽団を編成し同音楽祭の中心的役割を果たしたり、04年には若手奏者によるモーツァルト管弦楽団を設立し後進の育成にも力を注ぐなど、奇跡的な復活を遂げていました。 生前アバド氏は、現在のベルリン・フィル芸術監督サイモン・ラトルに、「私の病気は恐ろしかったけれど、その結果は悪いことばかりではなかった。私は今、体のなかから音楽が聴こえるような気がするのです。胃がなくなった代わりに、体の内側に耳ができたような…。これがどんなに素晴らしいことか、言葉にする術がありません。病気になった時、音楽が私を救ってくれた。それは間違いないことです」と述べていたそうです。 2012年度レコード・アカデミー大賞を受賞したイザベル・ファウストとのベルク&ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲でも、2013年の同協奏曲部門賞をに輝いたモーツァルトの管楽器のための協奏曲集でもバックを務めたのはいずれも、アバド指揮モーツァルト管弦楽団でした。このことについて音楽評論家の大木正純氏は、<名人集団の圧倒的な力量もさることながら、思うに解脱の境地と言うといささか大げさだが、澄み切ったアバドの、いわば超俗の心境が、それら名演奏の背景にあるのではないだろうか>と述べていますが、私もまったくその通りだと思います。ルツェルン祝祭管弦楽団やモーツァルト管弦楽団を指揮した時のアバドは力も抜けて、ベルリン・フィル時代の演奏とは別物の高みに達したような、自然な音楽の響きや流れを聴かせてくれました。本当に残念でなりません。ご冥福をお祈りいたします。 同曲異演盤 : ホープリッチ(basset clarinet)&ブリュッヘン/18世紀オーケストラ レオポルド・ウラッハ(cl)&ロジンスキ/ウィーン国立歌劇場管弦楽団 アルフレート・プリンツ(cl)&ベーム/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 今日の写真 : 初春の香り #2 2014年1月18日撮影 いわき市フラワーセンター マンサク ( 画像をクリックすると、少し大きな画像で見られます ) ☆・・ #
by fragile28
| 2014-01-26 14:47
| 協奏曲
ram's café menu No.843 : 交響曲
演奏 : カルロス・クライバー ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ( 輸入盤 LP DGG 2530 706 ) GRFmemoryさんのブログで紹介されていた小学館の「クラシック プレミアム創刊号」を買ってみました。高音質のSHM-CDが付いて、創刊第1号のみ特別価格840円という破格のお値段でした。全50巻の曲目にざ~っと目を通すと、ほとんど手持ちのCD,LPと重複しています。それでも創刊第1号なので、どんな内容なのか購入してみました。連載記事が骨格になっていますが、<入門者にもわかりやすいクラシック音楽のガイドブック>+<歴史的名演奏、名録音を高音質で収録したSHM-CD>という内容です。堀江敏幸さんの連載エッセイ「音の糸」も読めて、本当に手ごろなクラシック入門書だと思います。 今日のエントリーは、「クラシック プレミアム」創刊第1号で取り上げられた、カルロス・クライバー指揮「ベートーヴェン/交響曲第7番」です。楽曲案内と作曲家の足跡、演奏家の肖像など、簡単にですがこの本の中でも解説されています。この曲を評してワーグナーは「舞踏の神化」、リストは「リズムの神化」といったそうですが曲全体を貫く強烈で魅力的なリズムは、聴く者をわくわくとさせてくれます。楽曲案内の副題にあるように、<ニックネームはなくても素晴らしい交響曲第7番>です。 同曲異演盤 : カール・ベーム/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 今日の写真 : 初春の香り #1 2014年1月18日撮影 いわき市フラワーセンター 蝋梅 ( 画像をクリックすると、少し大きな画像で見られます ) 素心蝋梅 ☆・・ #
by fragile28
| 2014-01-19 15:44
| 交響曲
ram's café menu No.842 : 声楽曲
演奏 : エディット・マティス(S)、ユリア・ハマリ(A) ヴィエスワフ・オフマン(T)、カール・リッダーブッシュ(B) カール・ベーム/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 &ウィーン国立歌劇場合唱連盟 ( 国内盤 DGG 3111-12 ) 今日は福島市音楽堂大ホールで福島楽友協会合唱団の「第52回定期公演」がありました。 第1部.混声合唱とピアノのための組曲「夢の意味」 第2部.「あのころの唄」-Part Ⅳ- 第3部.モーツァルト/レクイエムK.626 そしてアンコールにモーツァルト/モテット「アヴェ・ヴェルム・コルプス」K.618 という演目でした。なお伴奏を務めたのは、郡山市を中心に活動している室内オーケストラ、アマデウス室内管弦楽団でした。 いつも聴いている高校生の女声コーラスとはちがって、さすがに成熟した大人の混声4部合唱でした。ガラス細工のような繊細な輝きではなく、とても力強くて安定し、包み込まれる安らぎを感じました。しっとりと成熟したソプラノは美しく優しく、危ういところはありません。ナマで成人のコーラスを聴いたのは、かなり昔のN響「第九」以来でしたが、『合唱王国ふくしま』の実力を再認識してきました。 福島楽友協会合唱団は1990年創立で、これまで50回を超す定期公演、2回の東京公演、5回の海外公演や多数の特別講演を行ってきたそうです。これまでの演奏作品一覧には、バッハの「ロ短調ミサ」「ヨハネ受難曲」、モーツァルトの「戴冠ミサ」「レクイエム」「孤児院ミサ」「大ミサ」、ベートーヴェンの「荘厳ミサ」など有名曲はもちろん、ブラームス、フォーレ、ヴィヴァルディ、ペルト、ドヴォルザーク、ブルックナー、プーランク、ヘンデル、ロッシーニ等々、たくさんの作曲者名が記載されていました。クラシック界では、とかく<遠くの神様>ばかりが注目されますが、私たち「ふくしま」の地元の合唱団は、どれも『合唱王国』に相応しく素晴らしい演奏を聴かせてくれます。地元を誇りに思う素晴らしい演奏会でした。ありがとうございました。 同曲異演盤 : ウィリアム・クリスティ/レザール・フロリサン カール・リヒター/ミュンハン・バッハ管弦楽団&合唱団 今日の写真 : 第52回定期公演 2014年1月13日 福島市音楽堂大ホール ( 写真をクリックすると、少し大きな画像でご覧いただけます ) #
by fragile28
| 2014-01-13 22:02
| 声楽曲
ram's café menu No.841 : 管弦楽曲
演奏 : クラウディオ・アバド ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ( 輸入盤 LP DGG 423 662-1 ) あけましておめでとうございます 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます お正月恒例のウィーン・フィル「ニューイヤー・コンサート」は、今や世界中へFMとTVで同時生中継され、最も多くの人が同時に視聴する新年の一大イベントになりました。そして今年の指揮者は、2009年に続き2度目となるダニエル・バレンボイム氏です。楽しみですね。 さて拙ブログは8回目の新年ですが、本年最初のエントリーは、1988年のクラウディオ・アバドによる「New Year's Concert 1988」です。これが「ニューイヤー・コンサート」デビューとなったアバドですが、第一コンマス席には故ゲアハルト・ヘッツェル氏が座るウィーン・フィル全盛期のニューイヤー・コンサートでした。大病を克服した現在のアバドは、年齢を重ねていくほど演奏が若返ってゆく感じがしますが、1988年のこのころ、ウィーン・フィル楽員と比べてみれば、まだまだ《若造》?なんでしょうね(笑)。この演奏会ではウィーン・フィルらしい音色は感じますが、スマートで中庸な感じのウィンナ・ワルツでした。それでも、床を揺るがすような大砲の爆裂音には、驚いてしまいました(笑)。やはり映像があるかないかで、印象が大きく違いますね。観客のどよめきも録音されているだけに、残念! 同曲異演盤 : 2013 New Year's Concert ヴェルザー=メスト/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 New Year's Concert in Vienna アバド/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 New Year's Concert ボスコフスキー/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1992 New Year's Concert カルロス・クライバー/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1987 New Year's Concert ヘルベルト・フォン・カラヤン/ウィーン・フィルハーモニー 今日の写真 : 初春の楽しみ ( 写真をクリックすると、少し大きな画像でご覧いただけます ) ☆・・ #
by fragile28
| 2014-01-01 10:31
| 管弦楽曲
ram's café menu No.840 : 交響曲
演奏 : ヒルデ・ギューデン(S)、ロゼッテ・アンダイ(A) ユリウス・パツァーク(T)、アルフレッド・ペル(B) ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団&ウィーン・ジングアカデミー 録音 : 1952年2月3日(Live) ( 輸入盤 フルトヴェングラー協会 TMK-002038 ) 年末恒例といえば、もちろん『第九』も忘れてはいません(笑)。 今日はフルトヴェングラー&ウィーン・フィルによって1952年2月ウィーン楽友協会大ホールで行われたオットー・ニコライ記念演奏会でのライヴ録音をエントリーします。 フルトヴェングラーの『第九』はたくさん(10種類以上)のライヴ録音が残されていて、同じ録音で異なる国とレーベル、あるいはリマスタリングやSACD化されたりして、それこそ数え切れない<同演異盤>が存在します。その中の名演奏・決定盤としては、バイロイト祝祭歌劇場管弦楽団とのライヴ録音(1951年)とフィルハーモニア管弦楽団との「ルツェルンの『第九』」ライヴ録音(1954年)の2種類がよく知られています。フルトヴェングラーの録音は、演奏が素晴らしくても音質が良くないのが多いですが、これらの録音はすでにSACD化されていて、その演奏の素晴らしさをたっぷりと堪能することができます。 ところで今日のお薦めの一枚、1952年2月のライヴ録音は不朽の名演といわれる「バイロイト盤」から僅か半年後の演奏会の記録です。フルトヴェングラーの気力・体力はさらに充実しただろうし、しかもオーケストラがウィーン・フィルなのです。「バイロイト盤」の勢いの優った演奏とはかなり異なり、ゆっくりとしたテンポで美しく歌い、そして崇高で強靱な意志を感じさる大変な名演奏でした。おそらくは、1951年「バイロイト盤」に勝るとも劣らない、フルトヴェングラーの『第九』の決定盤になるかも知れません。 同曲異演盤 : フルトヴェングラー/バイロイト祝祭管弦楽団(1951年) ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィル(1979年普門館) オットー・クレンペラー/フィルハーモニア管弦楽団(1957年) フルトヴェングラー/フィルハーモニア管弦楽団(1954年) ヘルベルト・フォン・カラヤン/フィルハーモニア管弦楽団(1955年) ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィル(1963年) クラウディオ・アバド/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 フルトヴェングラー/バイロイト祝祭管弦楽団(1951年ORFEO盤) ハンス・シュミット=イッセルシュテット/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 カール・ベーム/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1970年) ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィル(1977年普門館) フルトヴェングラー/バイロイト祝祭管弦楽団(1951年) カール・ベーム/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1980年) 今日の写真 : 2013年のバラ 2013年11月3日撮影 神代植物公園 ファルツァー・ゴールド ( 写真をクリックすると、少し大きな画像でご覧いただけます ) ☆・・ #
by fragile28
| 2013-12-29 10:39
| 交響曲
|
by fragile28 <管理人よりお願い>
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