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グリーグ/ピアノ協奏曲イ短調Op.16

グリーグ/ピアノ協奏曲イ短調Op.16_a0085805_9213854.jpgram's café menu No.665 : 協奏曲

演奏 : ディヌ・リパッティ(p)
      アルチェオ・ガリエラ/フィルハーモニア管弦楽団

(  国内盤 LP COLUMBIA OL-3102  )






 グリーグは、「ノルウェーの日常の生活、お伽噺、歴史、とりわけノルウェーの自然が、私がまだ若かった時以来ずっと、私の作品に強い影響を与え続けてきた」と回顧していますが、今日エントリーするピアノ協奏曲を聴いて真っ先に感じるのも、そのノルウェー的な響き、ノルウェー的情緒です。グリーグがこの曲を書いた1868年は愛妻ニーナとの結婚の翌年にあたり、コペンハーゲン近郊での甘い新婚生活を過ごしていたそうです。そのためか北欧的な抒情の中に、満ち足りた思いや青春の情熱がのびやかに表現されているように思えます。

 さてお薦めの一枚は、1960年に日本コロムビア社が「ディヌ・リパッティ追悼集」として発売した5枚のLPの中の、《第2集》です。これは1947年録音ですが、この演奏は今でも歴史的名演といわれています。北欧的なリリシズムが香り高く、しかもとても美しく表現された一枚です。この日本コロムビアの追悼盤には、あのワルター・レッグ氏による《ディヌ・リパッティを偲ぶ》と題された小論が付録として付いていました。「グラモフォン誌」1951年2月号に寄稿された小論は、1946年から48年12月に彼が亡くなる直前までのエピソードを中心としていますが、細かい活字で文庫本なら10ページにも及ぶ文章はとても読みごたえがありました。

 ところでこのピアノ協奏曲について、柴田南雄著『レコードつれづれぐさ』(音楽之友社)に、《この曲はのっけのカデンツァにピアノの最低音のA(ヘ音記号で下の加線六本の下)が使われていて、それがパンチの効いた鳴り方をするかどうかで、だいたいあとの演奏の予想がつく》という文章がでています。このリパッティのLPはモノラル録音ですが、ピアノの音が透明で瑞々しく捉えられていて、パンチの効いた鳴り方にも凄みがあります。まさに《歴史的名演》を再確認する瞬間ですね。


今日の写真 : 残暑


グリーグ/ピアノ協奏曲イ短調Op.16_a0085805_9535310.jpg

by fragile28 | 2010-08-29 13:55 | 協奏曲


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