ram's café menu No.444 : 協奏曲
演奏 : ウィルヘルム・バックハウス(p) ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ( 国内盤 LP LONDON SLC 1615 ) ベートーヴェンは5曲のピアノ協奏曲を書きました。そのうち《皇帝》の名で親しまれている「第5番」以外は、ベートーヴェン自身のピアノ独奏で初演しました。因みに「第5番」は弟子のチェルニーが独奏を受けもちましたが、ベートーヴェンがピアニストとしてかつ作曲家としてウィーンで認められるためには、これらピアノ協奏曲の作曲、初演がとても大切なことであったようです。 今日エントリーする「第4番」は、ベートーヴェン35歳の1805年~1806年にかけて作曲され、ルドルフ大公に捧げられました。この時期には「交響曲第4番」、「ヴァイオリン協奏曲」、「ラズモフスキー四重奏曲」といった傑作が続々と誕生していた時期でもあります。しかもどれも馥郁と香り立つような情感に包まれた、じつに和やかで優美な曲ばかりです。 第1楽章冒頭部、いきなり「ターン、タ、タ、タ・・」という5小節のピアノ・ソロによる瞑想的な旋律で始まります。このリズムは繰り返しでてくるのでとにかく印象的です。因みにこのリズムをひっくり返すとあの《運命の動機》の「タ、タ、タ、ターン」です。 第2楽章アンダンテ・コン・モートでは、語りかけるピアノ・ソロにたいしてそれを優しく受けとめるオーケストラといった対話がしみじみと繰り返されます。ところでLPでは第2楽章までがA面、終楽章はB面に録音されています。そのため音楽はここで中断するのですが、本来は第2、3楽章は続けて演奏されます。CD(POCL-4692/4)でここを聴くと、第2楽章の厳かで穏やかな雰囲気を心の端に残しながら、第3楽章の軽快で華麗なロンドへとつながる爽快感を味わうことができますね。 今日は20世紀を代表する名ピアニスト、バックハウスが奏でるベートーヴェン、しかもオーケストラはウィーン・フィルです。静謐なベーセンドルファーから紡ぎ出す気品あふれる音色に心癒されます。スケールの大きな、彫りの深いベートーヴェンの音楽からは、清らかな祈りの声が聞こえてくるようです。まぎれもない20世紀の名演奏、名盤の一枚! 今日の写真 : 冬でも青々と これは「アクアマリンふくしま」の《熱帯アジアの水辺》の樹木です。 人工的な水蒸気が霧となって、温室の植物に潤いを与えていました。
by fragile28
| 2009-01-17 17:50
| 協奏曲
|
by fragile28 <管理人よりお願い>
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