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モーツァルト/アダージョとロンド ハ短調K.617

モーツァルト/アダージョとロンド ハ短調K.617_a0085805_858681.jpgram's café menu No.591 : 室内楽曲

演奏 : ハインツ・ホリガー(ob)、オーレル・ニコレ(fl)
      ブルーノ・ホフマン(glass harp)
      カール・シャウテン(va)、ジャン・デクルース(vc)

(  輸入盤 LP PHILIPS 9500 397  )






 モーツァルトは、18世紀ヨーロッパで大流行したグラス・ハーモニカのために、オリジナルの曲を書いています。それが「グラス・ハーモニカのためのアダージョとロンド」です。これは当時、有名なグラスハーモニカ奏者であったマリアンネ・キルヒゲスナー嬢のために書いた室内楽曲で、グラス・ハーモニカとオーボエ、フルート、ヴィオラそしてチェロのための五重奏曲でした。モーツァルトらしく天衣無縫の美しい旋律の小品で、とってもチャーミングです。
 ところで、マリアンネ・キルヒゲスナー嬢が使用したと思われるグラス・ハーモニカは1761年にベンジャミン・フランクリンが考案した<グラス・アルモニカ>という楽器のようでした。しかし、これに熱中するあまり指先の感覚麻痺や神経障害を起こす人や、失神したりする人も多数いて、ドイツではこの楽器の演奏は禁止されてしまいました。

 この「アダージョとロンドK.617」を最初にエントリーした《高橋美智子/CRISTALLINA GLASS HARP》のCD解説書を読んでいたら、《こうしてほとんど顧みられることのなくなったグラス・ハーモニカを現代に甦らせたのは、1913年ドイツに生まれたブルーノ・ホフマンであった。(中略)ホフマンは、フランクリンの機械式を取らず、グラスの厚さをかえて音の変化を作りだす方法をとった。ホフマンは、その音色がエオリアン・ハープに似ていることから”グラス・ハープ”と名付けたのである。》との記述を見つけました。

 さて今日のお薦めの一枚は、そのブルーノ・ホフマンがフルートのオーレル・ニコレ、オーボエのハインツ・ホリガーらと共演した1977年録音の歴史的な一枚です。100年ぶりにこの楽器を復活させたホフマンの情熱とともに、グラス・ハープの軽やかに宙を彷徨うような音色にうっとりです。もちろんフルートやオーボエも名人芸です。洗練されたきれのいい表現に芳醇な香りが漂ってくるようです。唯一のマイナスは、ロンド楽章になってグラス・ハープのペダル?のようなきしみ音が耳障りに聞こえてくることです。微かな《天使の声》を捉えるための近接録音だったのかも知れませんが、今となっては少しだけ残念!でした。



   同曲異演盤 : パリ・バロック・アンサンブル
             高橋美智子(glass harp)&クリスタル室内合奏団



今日の写真 : 微笑み

モーツァルト/アダージョとロンド ハ短調K.617_a0085805_13355718.jpg

                    ( 写真をクリックすると、少し大きな画像でご覧いただけます )
by fragile28 | 2010-02-07 09:15 | 室内楽曲


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